アレクサンダー・テクニーク

       どんな人がレッスンをうけているの?

 

19世紀生まれのオーストラリア人、F.M. アレクサンダーが始めました。

F.M. アレクサンダー (Frederick Matthias Alexander) は

アレクサンダー・テクニークの核となるアイデアを発見し、発展させ、世にひろめ、数々の著作を記し、第一世代のアレクサンダー・テクニーク教師を養成しました。

著書に『Man`s supreme inheritance』『Constructiv Conscious Control of Individuals』『the Use of the Self』などがあります。


アレクサンダーさんは、1869年オーストラリアのタスマニア島で生まれました。

馬とシェイクスピアが大好きだった彼は、

若くしてシェイクスピアの朗誦家として舞台でのキャリアをスタートさせました。

しかし、しばらくすると舞台上で声がかすれ始め

とうとうあるときまったく声が出なくなってしまいます。

慌ててさまざまな医者やボイス・トレーナーにかかりますが効果はなく

どの医者もボイス・トレーナーもさじを投げる始末。

とうとうアレクサンダーさんはひとりで原因解明・現状打破にのりだしました。

普通に暮らしの中で喋っているときは声に問題はないのです。

舞台の上に立ってしゃべり始めると途端にかすれ始めて

しまいには声がまったく出なくなってしまう。

ということは・・・

コトが起こるのはセリフをしゃべっているときだろうと見当をつけ

観察を始めました。

鏡の前に立ってセリフをしゃべり

そのときの自分自身がなにをやっているのか

また、普通に喋っているときとの違いはなんなのか

あらゆる方向から細かく何度も何度も観察しました。


観察を重ねた結果わかったことは

「セリフを言うぞ」と思ったその瞬間

首を縮めて、頭を押し下げているということでした。

そのため、あろうことか声帯に圧迫を加えていたのです。

反対に、首が楽になって頭が脊椎の上に繊細にのっていれば

声は楽に出るのでした。

観察の目をまわりにも向けてみると

人々は多かれ少なかれ「やるぞ」とやる気を出しては

首の後ろを縮めて、動きの質を損なっていることがわかりました。

彼の発見は、彼ひとりの発声問題だけにとどまらず

人間の活動全般に当てはまるものだったのです。

アレクサンダーさんは実験をくり返し

体の機能を自ら邪魔してしまう私たちの癖の仕組みと

それをやめていく方法を考え始めました。


約10年もの時間をかけて実験をくり返し考察を深めていく中で

ただ体の一部をちょいと調整すればいいというわけではないことに気づきます。

頭を押し下げているからといって

じゃあ頭を上げればいいじゃないの、というような話ではないのです。

アレクサンダーさんは、 体はあくまで全体として連動しながら動いているし

思考や感情のレベルで起こっているプロセスも

体の動きのプロセスに大きく関わっていることに気づきました。

そして、この一連の発見と考察を通して

当時の西洋で一般的かつ常識的かつ当たり前とされていた心身二元論ではなく

体・精神・魂の有機的な統一体として人間をとらえ始めました。

(このことが、多くのアレクサンダー・テクニーク教師が

 「体の使い方」ではなく、「自分の使い方」という言い方で

 アレクサンダー・テクニークを説明する理由だと思います。

 アレクサンダーさんも『Use of the Self』という著作を残しています。)


さてさて。

アレクサンダーさんの発見は少しずつ改良を加えられ、発展していきました。

またアレクサンダーさんは自分が発見し発展させた一連の方法を

他の俳優たちにも惜しみなく教えました。

いつの時代も舞台人たちは故障や過度の緊張、本番で実力を発揮できないことを

深く悩んでいるのです。

1904年にはロンドンに移り住みました。

やがて「ロンドン演劇界の保護者」と呼ばれるようになります。

彼の発見とそのレッスンはどんどん評判になり

俳優以外の人々がレッスンに通うようになりました。

また、評判を聞きつけた知識人・文化人たちにもひろまり

この人たちはレッスンを受けて変化した自分自身についてや

アレクサンダーさんの重大な発見とレッスンへの賛辞を

おしみなく著書やノーベル賞受賞の際のスピーチで述べています。

1930年にはアレクサンダー・テクニークを教える教師養成コースを

ロンドンで始めます。

またアレクサンダー・テクニークを初等教育に、という要望から

学校を作り運営に携わりました。


1955年にアレクサンダーさんが亡くなったあとも

欧米を中心に、南アフリカ・イスラエル・日本などでも教師養成のための学校が

つくられ、アレクサンダー・テクニークは脈々と教え継がれています。

F.M.アレクサンダー

F.M.アレクサンダーと子どもたち。

一時期、アレクサンダー・テクニークを

カリキュラムに加えた学校を創って、教えていました。

F.M.アレクサンダー

朗誦家時代と思われる。

どんな人がレッスンをうけているの?


アレクサンダーさんの発見したことは

人間の活動についてのごくごく基本のことだったので

人間の活動のほとんどをアレクサンダー・テクニークのレッスンで扱います。


世界中では

あまたのミュージシャンが、アスリートが、ダンサーが

妊婦が、教師が、ジャグラーが、毎日子どもを抱っこする母が

腰痛持ちの介護士が、あがり症の俳優が、シャイな青年が

アレクサンダー・テクニークを学んでいます。

パフォーマンス(ダンス・演技・演奏・歌唱・スポーツなど)を向上させたい方

慢性的な痛み(腰痛・肩こり・腱鞘炎など)を抱えている方

PC作業等いつも同じ姿勢で過ごしながらも、快適に仕事がしたい方

妊娠中または育児中で、前と勝手が違うけれどもっと楽に動きたい方

慣れない状況、困難な状況のなかでも心地よくいたい方

リラックスしろって言われるけどリラックスの仕方がわからないという方

苦手な相手・質問に対して楽にノー、もしくは楽にイエスを言いたい方

習い事がいまいち伸び悩んでいる方

人前で話すのが苦手でいつもあがって困る方

不自由な体との付き合い方を模索している方

ヨガやピラティス、太極拳をやっていて

人間活動の基本的なアイデアを取り入れたい方


などなど

様々な方がレッスンに通っています。

また、自分のことをいろんな角度から知りたい方など

「自分の使い方を学ぶ」という考えに惹かれて来られる方もいます。




2008年には、イギリスの世界的に権威のある医学誌 British Medical Journal

「アレクサンダー・テクニークは慢性的な腰痛の症状緩和に効果的」

という調査結果が公表されました。

約600人の慢性腰痛の患者が参加した、息の長い研究の結果でした。

これを受けて、慢性腰痛を診ている整形外科などの専門医からも

アレクサンダー・テクニークは注目されています。

2008年8月19日付け




また、欧米ではこれらの芸術大学や音楽学校のカリキュラムに

アレクサンダー・テクニークが取り入れられています。

  英国王立演劇学校(RADA)

  ジュリアード音楽院

  英国王立音楽院

  英国王立音楽大学

  ギルドホール音楽院

  トロント王立音楽院 他


レッスンを受けている欧米の俳優・音楽家・著名人も多いです。

 俳優

   ジュリエット・ビノシュ

   ロビン・ウィリアムズ

   キアヌ・リーブス

   ヒラリー・スワンク

   ヒース・レジャー

   ジュディ・デンチ

   ポール・ニューマン 他

 音楽家

   ポール・マッカートニー

   スティング

   キース・ジャレット 他

 研究者・文化人

   アンドルー・ワイル(健康医学博士 代替医療も取り入れた統合医療を提唱)

   ニコラス・ティンバーゲン 動物行動学者 1973年ノーベル生理学・医学賞受賞)

   ジョン・デューイ(教育学者、哲学者、社会思想家)

   ジョージ・バーナード・ショー 劇作家 ノーベル文学賞・アカデミー脚本賞受賞)

   チャールズ・スコット・シェリントン ( 神経生理学者 1932年ノーベル生理学・医学賞受賞)

   オルダス・ハクスリー(作家 著書に『すばらしい新世界』『知覚の扉』『島』)

   レイモンド・ダート(人類学者 アウストラロピテクスの化石を発見)   他


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